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弁護士法人アルファ総合法律事務所

整理解雇について

2021年04月29日

整理解雇について

 

コロナ禍による売上減少等の理由により,従業員を削減する必要が生じた場合,やむを得ず,整理解雇をすることも考えられます。

今回は,整理解雇について,簡単に解説いたします。

 

1 解雇の要件

整理解雇も解雇である以上,当該整理解雇につき,客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当であると認められる必要があります。

 

2 整理解雇の要件

⑴ 整理解雇の当否は,次の要件(要素)により判断されます。

すなわち,①整理解雇の必要性,②整理解雇回避義務の履行,③人選基準及び人選の合理性,④手続の妥当性,の4要件です。

これら4要件については,すべてを厳格に充足しなければならないものではなく,総合考慮した結果により,

解雇の有効性が判断されることが多いです。

例えば,整理解雇の必要性が高く,会社の存亡にかかわるような事態の場合には,他の要件が緩和されることも有り得ます。

他方,整理解雇の必要性がなければ,例え他の要件を充足していたとしても,(必要性がない以上,)整理解雇を行うことはできません。

 

⑵ 整理解雇の必要性

当然ですが,整理解雇を行うに当たっては,その必要性があることが必要です。必要性の判断に当たっては,

その原因と程度が問題となります。

また,原因について,使用者側に起因するもの(杜撰な経営によるもの,経営判断のミス等),それ以外の事情(経済情勢,コロナウイルス等)により,

整理解雇の必要性の程度も異なります。

 

⑶ 整理解雇回避義務の履行

使用者は,整理解雇を行おうとする場合,それに先立って,整理解雇を回避するために努めなければなりません。

そのため,(解雇の必要性の問題でもありますが,)遊休資産の売却や経費削減をし,外注していたものを自社で行う等,

まずは使用者側で取り得る手段を取らなければなりません。

また,使用者側で取り得る手段を尽くした上で,労働者側に負担を強いる必要がある場合でも,配置転換により

解雇を回避できる場合には,まず配置転換をすることが必要です。

そして,一時的な需要減少が原因と思われるような場合には,一時帰休も検討する必要があります。

さらに,賃金カット等についても検討する必要がある場合もあります。

加えて,早期退職(希望退職)募集制度を検討する必要があります。退職の条件を優遇した上で,一定の期間内に,

一定の人数の自主退職者を募集することを内容とするものが多いです。

早期退職募集は,整理解雇の際の義務ではありませんが,重要な判断要素となります。また,早期退職募集の優遇条件についても

判断要素となるため,一般的には,労働者が「応募したい」と考えるような内容にすることが必要です。

 

⑷ 人選基準及び人選の合理性

解雇対象者の選定は,客観的に合理的な基準により公正に行われなければなりません。そのため,人選基準は,

使用者の恣意が介在する余地のないものとする必要があります。一般論としては,勤務地,能力,休職・病欠日数,

勤務成績,年齢,入社歴,適格性等です。

しかしながら,これらを基準とすれば問題ないというものではなく,個別具体的な事案により,合理性がなく,

解雇が無効とされる場合もあります。そのため,必要性との兼ね合いで検討する必要があります。

また,人選基準が合理的であっても,実際の人選が不合理である場合,解雇は無効となります。そのため,性別,国籍,信条による

差別的な人選や,労働組合員の排除を目的とした人選をすることは許されません。

 

⑸ 手続の妥当性

使用者は整理解雇に際し,労働者・労働組合に対し誠実に協議・説明を行う義務を負います。そのため,会社の財務状況等を

適切に開示する等をした上,整理解雇の必要性を丁寧に説明しなければなりません。また,労働協約や就業規則において,

人事協議(同意)条項が存在する場合には,当該条項に基づいて協議(同意)を経なければなりません。

 

3 留意点

上記で解説しました事項は,いずれも「これを充足すれば解雇が可能」というものではなく,総合考慮された結果,

その当否が判断されるものです。そのため,形式的には上記の要件を充足しているように見えても,結論として,合理性がなく,

整理解雇が無効と判断される可能性もあります。

従いまして,整理解雇をする際には,慎重に検討し,一定の準備をする必要があります。そのため,整理解雇が可能な場合であっても,

解雇するまでには一定の時間が必要です。

 

以上,整理解雇について簡単に解説いたしましたが,実際の場面における適用関係については,

個別具体的な事情等によっても異なりますので,その都度ご確認いただきますようお願いいたします。

 

内容については十分留意しておりますが,正確性を保証するものではありません。

本コラムに起因した損害が発生した場合であっても,当事務所は一切の責任を負いません。

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