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弁護士法人アルファ総合法律事務所

売買契約書に記載された土地建物割合が否認された事件で 国側勝訴

2023年10月15日

売買契約書に記載された土地建物割合が否認された事件で 国側勝訴

法人が土地と建物を一括で譲渡した際、売買契約書で土地と建物の対価がそれぞれ区分されている場合でも

その割合が妥当ではないとする国側の主張が認められました。

 

はじめに

土地と建物を一括して購入・売却する場合、売買契約書に基づいて土地と建物それぞれに区分するのが一般的ですが、

極端な場合にはこれが認められないこともあるので注意してください。

 

契約書内に売買代金や消費税額を記載していた

原告であるA社は、築年数の経過した土地および建物を仕入れて当該建物にリフォームを施し、

価値を高めた上で顧客に販売するビジネスモデルを採用していました。

本件でもそのビジネスモデルどおり、土地および建物を一括で仕入れ、一括で販売していました。

A社は、販売時において顧客との間で売買契約書を作成しており、その売買契約書には売買代金総額やA社算定方法に基づく

消費税額等を記載していました。また、A社は消費税額等について当事者間でも合意できていたと主張しています。

 

国側の主張

消費税法上、事業者が課税資産である建物と非課税資産である土地を一括で譲渡した場合、これら資産の譲渡対価額が

「合理的に区分されていないとき」は、全体の譲渡対価額を土地と建物の時価が占める割合で按分するとしています。

A社は、売買契約書に記載した消費税額に基づいて土地と建物を按分し確定申告をしていました。

一方の国は、土地と建物の金額が合理的に区分されておらず、リフォームによる価値の増加分が建物の金額に反映されていないと

主張し更正処分を行ったというものです。

 

東京地裁「国の処分は適法と判断」

土地と建物が一括譲渡された場合「当事者間で合意した土地と建物の金額に常に従わなければならないというわけではない」と

東京地裁は判断しました。

仮に一括譲渡の場合「当事者間で合意した対価の額の区分に常に従わなければならない」とすると、土地と建物の割合を

意図的に操作することで消費税額の納付額を不当に少なくすることができてしまいます。

そのため、売買契約書に土地と建物が区分されている場合であっても「合理的に区分されていない」と判断するということです。

 

本件のポイント

本件では、A社とその顧客との間で作成された売買契約書に、A社が算定した方法に基づく消費税額が記載されており、

当事者間では合意されていたものといえます。

しかし東京地裁は、合意された対価の額であっても、土地と建物のように消費税が課税される資産と非課税となる資産の一括譲渡の場合では、

その合意された対価の額に常に従わなければならないものではありません。

 

「合理的に区分されていないとき」の規定が適用され得るという判断をしています。

また「合理的に区分されていないとき」の適用に関しては、土地および建物の本来的な価値や仕入れた際の対価の額の比率等と比較して、

課税資産である建物の割合が過少になっていないかどうかなどの事情も考慮すべきと示している点もポイントだといえます。

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