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弁護士法人アルファ総合法律事務所

会社負担の 健康診断費用の取扱い

2024年10月10日

会社負担の健康診断費用の取扱い

 

福利厚生の一環として、会社が従業員の健康診断費用を負担しているというのはよくあります。

この健康診断費用については、会社が医療機関に直接支払うべきなのでしょうか。

 

はじめに

福利厚生の一環として、会社が従業員の健康診断費用を負担しているというのはよくあります。

この健康診断費用については、会社が医療機関に直接支払うことが必要という意見がありますが、

従業員が立替精算する場合であっても、一定の要件を満たす場合には給与課税は発生しません。

 

検診費用の負担方法は 実は定められていない

会社が従業員へ金銭で支給する給料、賞与などのほか、経済的利益も給与等として所得税の課税対象となります。

しかし、従業員の福利厚生のために会社が負担する費用については、下記の場合を除いて、給与課税は不要です。

 

●従業員が受ける経済的利益の金額が著しく多額である

●役員など特定の職位の人だけを対象に供与される

 

この取扱いに基づいて、会社が負担する従業員の人間ドックや健康診断費用について、

希望者全員が検診を受けられ、検診を受けた者の全員を対象にその検診費用を会社が負担する場合は、

給与課税は不要だと国税庁の質疑応答事例で明らかにされています。

 

【 給与課税の対象とならない検診費用 】

●希望者全員が検診を受けることができること

●検診を受けた全ての者の費用を会社が負担すること

●会社の負担費用が著しく多額でないこと

 

検診費用を会社が直接医療機関に支払うか、従業員が立て替えて後日会社で精算するのかは通達や

質疑応答事例では特に言及されていません。

 

希望者が全員検診を受けられ、検診を受けた全員の検診費用を会社が負担し、その負担額が著しくなければ、

いずれの方法であっても給与課税は不要です。

 

社内規定の整備が必要

検診費用を従業員が立て替え、後日会社で精算する方法であることのみをもって、給与課税の対象に

なることはありません。

 

しかし、従業員に金銭を支給することにはなってしまうため、税務調査で給与等とみられることがないよう、

会社の規定等に基づいて、検診を受けた全員を対象に会社が負担するなどの取扱いを明確にしておいた方が賢明です。

 

例えば、検診費用の名目でも渡切りで一定額を従業員に支給したり、社内規定等でルールが定められておらず、

対象者がバラバラであったりする場合には、税務調査で従業員に対する給与等と指摘されることも考えられます。

 

会社名義の領収証を保存

従業員による立替精算の方法では、会社が負担する検診費用であることを明確にするため、精算にあたって、従業員から会社名義の

領収書の提出を受けた方が良いでしょう。

 

領収証の宛名が従業員個人の氏名となっていても、その実態が検診を受けた全員を対象に会社が負担していれば基本的には

給与等に当たりませんが、税務調査でその内容を確認される可能性もあります。

 

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