2018年11月29日
ハラスメント対策
ハラスメントは、一般に「嫌がらせ、精神的ないし身体的な苦痛を与える行為」と定義され、
近年、被害の増加や顕在化により大きな社会問題となっています。
様々な場面に合わせ、マタハラ、リスハラなどと呼称も多岐に増えているようですが、職場でのハラスメントとしては、
パワーハラスメント、セクシャルハラスメントに包括されると思います。
パワーハラスメントは、厚生労働省による定義では「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの
職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」とされます。
職場におけるパワーハラスメントは、加害者から被害者に対する権利侵害として、時には不法行為による損害賠償義務を生じさせますが、
業務との関連性が認められるなど、場合によっては会社が加害者に代わり、使用者責任によって賠償義務を負うことがありえます。
また、不法行為、使用者責任以外にも、会社は使用者として労働者の職場環境を維持改善すべき安全配慮義務を負っており、
例えば、職場内でのハラスメントの事実を把握しながら、適切な対処や加害者に対する注意指導、被害者の環境改善の措置等を
適切に行わなかったような場合、会社自体の債務不履行責任による損害賠償義務を負うことも考えられます。
法的には、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法では、企業に一定のハラスメント防止措置を講じるよう義務付けていますし、
厚生労働省による平成24年3月の「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」でも、
企業に対し、ハラスメント対策に取り組むことを求めています。
企業がとるべき対策としては、具体的には、どのような行為がハラスメントとなるのかといった情報の周知、相談窓口の設置、
ハラスメントが起きた際の対処、処分についての就業規則の策定等がありますが、現状として、ハラスメントを未然に防ぐ仕組みを
具体的に講じていない企業や経営者も一定数存在するかと思います。
企業自体がハラスメント防止に取り組むべき当事者とされる現状では、
早期に情報収集を行い、各対策を講じることが肝要と考えます。