2022年10月31日
飯能河原の利活用計画と民間事業 ~河川敷を活用した地域ぐるみのまちづくり~
夏が過ぎ,一気に朝晩の気温が低くなり秋の深まりを感じます。
今年の夏は,新型コロナウィルスの影響による行動制限もありませんでしたが,
夏を楽しむことはできたでしょうか。私は海に出かけましたが,近年,魅力を感じるようになった川にも出かけて
一時の涼を感じてきました。
海がない埼玉県は「川の国」と標ぼうして川を押しだしてアピールしています。
ちなみに私個人のおすすめは,ときがわ町にある「三波渓谷」と「山田屋」のかき氷です。
埼玉の有名どころとしては,飯能市を流れる入間川の飯能河原でしょうか。その飯能河原では,今年,4月から5月,
7月から8月の2回の行楽シーズンにあわせ,飯能市が飯能河原でのバーべキューやデイキャンプでの利用を
有料化する実験的取り組みを実施したことがニュースになりました。近年目立っていた騒音やけんか騒ぎ,ゴミの放置といった
マナー違反への対策でした。取り組みの結果,マナー違反は減り,利用者も減ったそうです。この取り組みは,県から委託を受けた
埼玉りそな銀行の完全子会社「地域デザインラボさいたま」が中心となってまとめた施策に拠っているようで,今回実施された「有料エリア」に加え,
バーベキューやキャンプでの利用を禁止し,カヤックなどを通じ自然を楽しむための「上流エリア」「下流エリア」などに分けて運用する計画が
提言されているようで,子供向けの川遊びエリア,観光協会が仮設の飲食店などを開くエリア,民間事業者が独自にサービスを提供するエリアを
設けていくことになりそうなので楽しみです。
弁護士のコラムなので,河川区域の活用について,法的な視点からみてみます。
公共用物である河川を占用利用するためには,管理者の許可が必要になります。入間川の飯能河原の場合は,埼玉県が
許可権者となっています。占用を認めるかどうかの許可基準は道路とは異なって法律には定められておらず,国交省の準則
「河川敷地の占用許可について」に従って判断されています。
この準則が平成23年,平成28年に改正され,従来河川敷地占用における占用主体は,公共性,公益性を有する者等に限定されてきた
ところでしたが,商業利用の促進の観点から,営業活動を行う事業者等による都市及び地域の再生等に資する河川敷地の利用を実施可能とし,
推進する内容となりました。
改正準則によって,敷地の民間利用について,まちづくりや地域活性化等を踏まえた地元の市町村長からの要望に基づき,河川管理者が
「都市・地域再生等利用区域」に指定し,河川敷地の占用許可を受けることが可能となっています。
この「都市・地域再生等利用区域」指定制度が活用され,飯能河原に民間事業者が参入することになります。
既に平成29年3月に一部指定を受けたエリアでは,ムーミンパークを経営する会社が北欧スタイルのバーベキュー場
「リバランタ」を出店しています。また,この指定制度によって狭山市の入間川河川敷中央公園にはスターバックスが出店しましたね。
子どもを隣接する公園で遊ばせながら,スタバのラテが飲めます。寒い時期におすすめです。
地域の事業者の皆様には,川という自然と広い公共空間を活用して地域再生事業に進出していただき,
海なし県の川の魅力を,地域の魅力をどんどん高めてていただくことを期待しています。