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弁護士法人アルファ総合法律事務所

狭山茶のお茶摘み体験と法務

2023年05月08日

狭山茶のお茶摘み体験と法務

 

五月の連休はいかがお過ごしでしょうか。

弊所は東京都国分寺市と埼玉県所沢市に事務所がありますが,この時期は埼玉県内及び埼玉県に隣接する東京都の西部地域を

生産地とする狭山茶の新茶の収穫のシーズンです。私は,この連休中に,ある狭山茶の農家が実施している茶摘み体験に参加してきました。

気持ちのいい気候に加えて,茶摘みを行う畑も狭山丘陵の麓に位置し眺めもよく,時間を忘れて茶葉の収穫に夢中になりました。

収穫体験のあとには新茶とともにお茶菓子をいただきましたが,とっても美味しかった。収穫した茶葉をお土産で持ち帰り,自宅で収穫した

茶葉を荒茶に加工して飲むという作業も初めての経験で面白いものです。同時に美味しい煎茶を作る難しさ,

煎茶ができるまでの工程の多さなども認識し,これから緑茶を美味しくいただけるありがたみも感じられる気がします。

 

今回の農家さんは,茶葉の生産だけではなく,こういった収穫体験,加工した煎茶の販売,各地で行われているマルシェへの出店,

茶葉を利用した煎茶以外の商品開発など様々なマーケティング活動をされていました。

実際,体験した子どもまた茶摘み体験に行きたいと言い,提供された煎茶が美味しいと家族で話し,かわいらしいパッケージに

目を引かれ煎茶の商品(種類も豊富)をいくつか買って帰りました。

これはマーケティングでいう「コト消費」,「顧客体験マネジメント」の位置づけになるのでしょうか。

 

狭山茶の農家さんは,かねてから自園,自製,自販に取り組む自生産販売型が多いようです。

これは狭い意味での6次産業化に該当しますが,昨今,農業の振興のために6次産業化の法整備も進んできています。

6次産業化が進むと,必然的に様々な販売形態や取引形態をする機会も増え,その分,関係する法律も複雑になってきます。

農業者が採取した未加工の青果物を消費者に直接販売する場合,さらなる加工を前提とする荒茶への一時加工は,

食品衛生法上の許可は不要となりますが,加工して新たな商品を開発した場合には食品衛生法の規制対象かどうか。

条例の規制はどうか。食品表示規制はどうか。パッケージに採用したデザインの著作権はどうか。

商品名について商標権はどう考えるのか。事業を拡大するための農地の取得,確保についての法的規制はどうか。

通信販売の際の特定商取引法の規制はクリアしているか。事業の承継をどうするかなどなど。

 

弁護士というと,契約書のチェック,労務,事故やトラブルが生じたときの対応を任せるのだろうというイメージがあるかと思いますが,

様々な視点,方法で事業を行う農家さんの法務支援という枠組みで上記の種々の法律についての法的助言をすることも

弁護士業務の重要な役割です。

 

狭山茶農家さんの事業の支援はもとより地元の名産である狭山茶の振興,地域振興に関わることのできる

非常にやりがいのある仕事だなと今回の茶摘み体験を通じて感じました。

 

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