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弁護士法人アルファ総合法律事務所

免税事業者に支払う報酬の源泉徴収ミスに注意

2024年02月13日

免税事業者に支払う報酬の源泉徴収ミスに注意

 

インボイス制度が始まりましたが、免税事業者に対して支払う報酬から天引きする源泉徴収税額への

影響はあるのでしょうか。

 

はじめに

制度開始から2029年9月末までの6年間は、免税事業者からの仕入であっても経過措置の適用により

一定割合が仕入税額控除の対象となります。では、源泉徴収税額はどうなるのでしょうか。

 

源泉徴収の考え方に変更なし

講演料や税理士報酬など一定の報酬や料金については、原則として、消費税額等を含めた

税込価格が源泉徴収の対象となります。ただし、講演者や税理士などが作成する請求書に、報酬等の

本体価格と消費税額等が明確に区分されている場合は、本体価格のみを源泉徴収の対象とできます。

あくまで、原則は税込価格、特例的に税抜価格です。

 

インボイス制度下でも、上記の取扱いに変更はありません。ここでの請求書は、必ずしもインボイスで

あることを求めません。免税事業者など、インボイス発行事業者以外の者が発行する請求する請求書や

納品書などでも構わないとされています。

 

費用計上額と源泉徴収対象額が一致しないことに

消費税法上、請求側が免税事業者の場合、インボイス制度下では、支払側における仕入税額控除が

経過措置期間に応じて制限されます。

制度開始から最初の3年間は仕入税額相当額の80%が、次の3年間は仕入税額相当額の50%が

仕入税額控除の対象となります。ただし6年間の経過措置終了後は仕入税額相当額の全額について

仕入税額控除を行えなくなるので注意が必要です。

法人税では、仕入税額控除対象外部分を「対価の額」に含めて課税所得の計算を行わなければなりません。

源泉徴収の対象となるのは、仕入税額控除対象外部分に関係なく、請求側から交付された請求書等に

本体価格と消費税額等が明確に区分されていれば、請求書等に記載されている本体価格のみとなります。

 

例えば、支払側が、免税事業者である講演者のAさんに

2023年12月分の講演料金55,000円(税込)を支払うケースです。

支払側は、Aさんに支払う報酬料金について、消費税法上の経過措置を適用して仕入税額相当額の

80%を仕入税額控除の対象とします。

この場合、法人税法上は、仕入税額控除対象外部分に当たる残りの20%相当額である1,000円を

報酬料金に含めて課税所得の計算を行うことから以下のような仕訳を計上することになります。

 

支払報酬 51,000円 / 預金 55,000円

仮払消費税 4,000円

 

免税事業者であるAさんから交付された請求書に、本体価格50,000円と消費税額5,000円が明確に

区分されている場合、源泉徴収の対象は税込価格の55,000円ではなく、本体価格の50,000円となります。

 

この場合、支払側は、仕訳を計上する際に支払報酬を51,000円としますが、源泉徴収の対象も

51,000円とすることはありません。

 

交付された請求書に本体価格と消費税額が明確に区分されていることから、記載されたとおりの

本体価格50,000円に対して源泉徴収を行うことになります。

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