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弁護士法人アルファ総合法律事務所

商品券の適切な取扱いと税務上の注意点

2024年09月10日

商品券の適切な取扱いと税務上の注意点

 

得意先などに渡すための商品券を購入されたことはありますか。商品券の購入や使用は税務調査で必ずチェックされる

項目ですので、改めてその取扱いを確認しておきましょう。

 

はじめに

商品券を購入した際の税務処理は他の物品を購入した場合とは異なりますので、交際費の総勘定元帳に商品券といった

文字が書かれている場合には必ず税務調査でチェックされます。

 

台帳での管理

得意先などに渡すために商品券を購入し、実際に贈答される場合、渡した年月日、相手先の会社名や担当者の氏名、

金額を明記した台帳を管理されていますか。また、期末において残っている商品券がある場合には貯蔵品として

資産計上されていますか。

 

商品券を購入した年月日で一括して交際費に計上する、期末に残っている金額を確認していないという

ケースが非常に多く見られます。

税務調査があった段階で数年前の出来事をすべて思い出すのは事実上不可能ですので、現実的には台帳で

管理する必要があります。

 

国税不服審判所の裁決

納税者の主張が認められず、商品券の購入費用の全額が損金として認められなかったケースも存在します。

 

実際に相手に渡しており、交際費として使用している場合であっても、その内容を個別具体的に説明できなければ、

損金算入が認められない可能性は十分に考えられます。

 

このような事案において、国税不服審判所は次のような判断を下しています。審判所は、商品券の購入費用を

損金算入するためには、その使途や相手先、配布日等の詳細な情報が必要不可欠であるとの立場を取っています。

 

しかし、多くの場合、納税者側はこれらの情報を十分に提示できておらず、結果として商品券の購入費用が

損金算入されないという事態に至っているのです。

 

● 商品券使用リストには、年月の記載、企業名と関係性の記載はあるが、具体的な配布日、配布した相手方の氏名、

住所、金額が記載されていません。

● 商品券の在庫に関する資料もありません。

● 商品券の具体的な配布の事実、期末に残っている商品券の存在を認めることができません。

● 商品券の使途は不明と言わざるを得ません。

● 使途が不明である以上、業務との関連性の有無も明らかとはいえません。

● 商品券の購入費用は交際費に該当せず、損金不算入となります。

 

ビール券や切手なども同様

この取扱いはビール券や切手、収入印紙などの金銭等価物についても同様です。商品券が高額になることが多いために

注目されがちですが、金券ショップ等で扱われるようなものは基本的に同じ扱いになると考えます。

 

自社で使用する場合であっても贈答品として他社に渡す場合であっても、損金算入となるのは購入時ではありません。

実際の使用時や贈答・配付時が損金算入の時期となります。

 

したがって、期末時点で残っている現金等価物は貯蔵品として資産計上されるべきです。

 

特に期末ギリギリで多額の金銭等価物を購入している場合は、目につきやすいため注意しなければなりません。

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