2025年03月12日
AIを利用した税務調査
国税庁は、令和5事務年度における法人税および所得税の調査状況を公表しました。AI(人工知能)を活用し、
効果的かつ的確な税務調査を実施していることが示されています。
はじめに
税務調査でもAI(人工知能)が利用される時代となりました。国税庁は、AIを活用した調査方法の改善を
続けることで、限られた人員と時間で効率的かつ公平性の高い税務行政を実現しようとしています。
AIを活用した調査対象の選定
税務調査は申告内容の適正性を確認するため多くの人手と時間を要してきました。
しかし、AIを活用することで、申告データや各種資料情報を迅速・正確に解析し、不正行為の可能性が高い
納税者や、申告内容と実態が乖離している事案を効率的に抽出できるようになっています。これにより調査効率が向上し、
優先度の高い案件に的確にリソースを割り当てられるようになったといいます。
データ分析の強化
AIの導入は、調査の業務プロセスそのものにも影響を及ぼしているようです。
【データ収集・整理の自動化】
電子申告やデジタル取引データをAIが自動的に収集・整理することで、調査官の手作業による
入力作業が軽減されます。これにより、調査担当者はより高度な分析や意思決定に時間を割けます。
【調査対象の迅速な選定】
AIが過去の調査結果や申告内容を参照し、即座に調査対象者をスクリーニングします。
これにより、調査件数を確保しつつも重点調査が可能となり、より多くの納税者に対して公平で
適正な調査を実施できるようになりました。
法人への調査事例
令和5事務年度には、法人税および消費税(法人)に関する調査が広範囲で実施されました。
AIによる分析を基に、大口で悪質な不正計算が疑われる法人に重点的な調査が行われ、その結果、
不正計算を是正し、適正課税を確保するとともに、調査効率も向上しています。また、特定の業種や
規模に注目した詳細な分析を通じて、法人の申告漏れや不正行為を早期に発見する取り組みが進展しました。
特筆すべきは、法人税及び消費税の簡易な接触で申告漏れ所得金額が約92億円、
前事務年度から17.9%増加したこと、さらに無申告法人に対する調査による追徴税額が約219億円と、
平成19事務年度以降で最高となった点です。これらの成果は、AIが調査対象抽出と調査効率向上に
寄与していることを示しています。
個人への調査事例
個人の所得税調査でもAIは活躍しています。海外投資やインターネット取引、無申告といった
従来は発見が難しいハイリスク層を効果的に抽出し、申告漏れや不正還付事案を効率的に把握できるようになりました。
特に暗号資産(仮想通貨)取引や新たなデジタル取引分野においても、AIによるデータ解析の範囲拡大が進んでおり、
これまで困難だった取引追跡が容易になっています。
AI活用の効果と将来の展望
AIの導入は税務調査の効率化と精度向上に大きく貢献しています。
膨大な資料をAIが迅速かつ正確に分析することで、的確な調査対象の選定や調査工数の削減が実現しています。
AI技術がさらなる進化を遂げることで、税務調査の高度化が一層期待され、国税庁はこれを積極的に
取り入れる方針を示しています。