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弁護士法人アルファ総合法律事務所

少額減価償却資産の 特例が改正へ

2026年06月10日

少額減価償却資産の特例が改正へ

令和8年度の税制改正において、中小企業や個人事業主にとって非常に影響の大きい

「少額減価償却資産の特例」の見直し案が出ています。

はじめに

令和8年度の税制改正において、中小企業や個人事業主にとって非常に影響の大きい

「少額減価償却資産の特例」の見直し案が出ています。

 

少額減価償却資産の特例が40万円に

これまで、パソコンやオフィス家具などの備品は、取得価額が10万円以上の場合、原則として

数年間にわたって減価償却を行い、少しずつ経費化しなければなりませんでした。しかし、

「少額減価償却資産の特例」を適用すれば、30万円未満の資産であれば、購入したその年に全額を

経費として計上できました。

 

昨今の物価高騰を受け、高性能なIT機器や設備が値上がりし、これまでの「30万円」という枠では、

必要最小限の投資すら全額経費にできないケースが増えていました。そこで今回の改正では、

この判定基準が「40万円未満」へと引き上げられます。これにより、より高性能なパソコンや什器などを

導入する際のハードルが大きく下がります。

 

即時償却がもたらすキャッシュフローの改善

この特例の最大のメリットは、何と言っても「買ったその年に一括で全額を経費にできる(即時償却)」点です。

※ここでいう「即時償却」とは、少額減価償却資産の特例による全額損金算入を指します。

中小企業投資促進税制等の租税特別措置法上の即時償却制度とは異なりますのでご注意ください。

 

例えば、これまでなら4年間かけて毎年数万円ずつ経費にするしかなかった35万円の高機能パソコンも、

これからは取得した事業年度に一括で費用計上可能です。これにより、利益が出ている事業年度に戦略的な

設備投資を行うことで、当期の課税所得を圧縮し、賢く納税額をコントロールできます。

なお、20万円以上30万円未満の資産については、少額減価償却資産の特例を使わずに「一括償却資産」として

3年均等償却する方法も選択できます。どちらが有利かは事業年度の利益状況によって異なりますので、

ご判断の際はご相談ください。「節税」という側面だけでなく、最新機器へ早期に更新することで、

業務スピードの向上やデータセキュリティの強化など、本業の生産性向上に直結する投資を

迷いなく行えるという点が、経営者にとっての最大のメリットと言えるでしょう。

 

注意が必要な上限額と適用要件

非常に使い勝手の良いこの制度ですが、いくつか注意すべきルールがあります。まず、年間合計300万円まで

という上限額は維持される予定です。つまり、いくら40万円未満のものなら何でも経費にできるといっても、

年間の合計額が300万円を超えると、超えた分については通常の減価償却が必要になります。

 

また、今回の改正では、適用対象となる中小企業の規模要件が従業員数500人以下から400人以下に

厳格化されました。常時使用する従業員が401〜500人の企業は、改正後に本特例の適用対象外となります。

さらに、適用期限も令和11年3月末まで延長される見込みであり、長期的な視点での設備投資計画が

立てやすくなっています。購入する備品の合計金額が年間300万円の枠内に収まるか、また、

決算直前の駆け込み購入が「事業供用(実際に使い始めていること)」に該当するかなど、実務上の

チェックは欠かせません。

 

改正を活かした経営判断のために

今回の改正は、物価高という逆風の中で経営を続ける中小企業にとって、非常に追い風となるニュースです。

しかし、経費化のタイミングや対象資産の区分など、税務上慎重に判断すべきケースも存在しますので

ご不明点はお気軽にご相談ください。

 

 

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