2026年10月12日
今こそ値上げと資金繰りを考える
ここ数年、多くの事業者が原材料費や人件費、運送費などの上昇を実感しているのではないでしょうか。
今回は、小規模事業者が特に意識しておきたいポイントをご紹介します。
はじめに
ここ数年、多くの事業者が原材料費や人件費、運送費などの上昇を実感しているのではないでしょうか。
今回は、小規模事業者が特に意識しておきたいポイントをご紹介します。
物価上昇は利益を静かに減らしていく
以前であれば、「価格はできるだけ据え置く」という考え方が一般的でした。しかし現在は、物価上昇が続き、
さらに金利も上昇局面に入っています。経営環境は大きく変化しており、利益を確保するためには値上げと資金繰りを
同時に考える必要があります。
売上が前年と変わらなくても、利益が減っている会社は少なくありません。例えば、仕入価格が5%上昇し、
運送費や電気代も上昇しているにもかかわらず販売価格を据え置いている場合、その増加したコストは
すべて会社が負担します。
売上高は変わらないため、一見すると業績は安定しているように見えます。しかし実際には利益率が低下し、
手元に残るお金が少なくなっています。特に小規模事業者では、「忙しいのにお金が増えない」という状況に陥りがちです。
まずは前年と比較して、粗利益率、主要な仕入単価、人件費、外注費がどの程度変化しているかを
確認してみましょう。利益率の低下に早めに気付くことが重要です。
値上げは経営を守るための手段
値上げという言葉に抵抗感を持つ経営者は少なくありません。「お客様が離れるのではないか」
「競合に負けるのではないか」と不安になるのは当然です。
しかし、現在は多くの企業が同じようにコスト上昇に直面しています。
中小企業庁の調査でも、コスト上昇分を価格に転嫁できた割合は5割程度まで上昇しており、以前よりも
価格改定への理解を得やすい環境になっています。
むしろ利益が出ない価格で仕事を続ける方が、将来的にはサービス品質の低下や人材不足につながり、
お客様にも迷惑をかけかねません。値上げを検討する際は、全商品・全サービスを一律に上げる必要はなく、
下記のような方法もあります。
利益率の低い商品だけ見直す/ 新規契約のみ価格改定する
オプション料金を見直す/ 最低受注金額を設定する
大切なのは「利益を確保できる価格になっているか」を定期的に確認することです。価格改定の際は、
仕入価格の推移など根拠となる資料を添えて説明すると、取引先の理解を得やすくなります。
「利益」と「現金」の両方を確認
経営者の方とお話ししていると、「利益は出ているのにお金がない」という相談を受けることが多くあります。
これは、売掛金の入金よりも仕入や経費の支払いが先行することなどが主な原因です。反対に、一時的に預金残高が多いため
安心しているものの、利益率が低下しているケースもあります。
これからの時代は、損益計算書だけを見るのではなく、「利益は確保できているか」「値上げは必要ないか」
「手元資金は十分か」「借入金の返済に無理はないか」を定期的に確認するのが重要です。
物価上昇や金利上昇は避けられません。しかし、価格設定や資金管理を見直すことで、その影響を小さくできます。
少なくとも半年に一度、可能であれば月次で、自社の利益率と資金繰りを点検し、今後の経営に備えていただければと思います。



